きょうだいアスリートの絆、バレーボール石川兄妹

東京2020オリンピックで バレーボール男子がバルセロナ1992以来、29年ぶりに予選リーグを突破した一方、女子ではアトランタ1996以来、初めて予選リーグ敗退となるなど、明暗が分かれた日本代表。

それぞれの想いを胸に、パリ2024に向けて新たなスタートを切る中、男子代表「龍神NIPPON」、女子代表「火の鳥NIPPON」で活躍する兄妹がいる。

今回の「きょうだいアスリートの絆」シリーズでは、共に東京オリンピックに出場し、アウトサイドヒッターとして活躍する** 石川祐希と、 石川真佑**に注目してみよう。

• 石川祐希（1995年12月11日）
• 石川真佑（2000年5月14日）

エリート兄妹がたどってきた道

実業団の陸上選手だったという父親と、元バスケットボール選手という母親のもと、石川兄妹は愛知県岡崎市で生まれた。

現在イタリア・セリエAのパワーバレー・ミラノに所属する兄・祐希は、小学校4年生のときに1歳上の姉のバレーボールの試合を見に行ったのをきっかけに、バレーボールを始めた。

そんな兄姉を見て育った5歳下の妹・真佑がバレーに興味を持つのは当然のことだったかもしれない。小学校3年生のときにクラブチームに入団するやいなや、バレーに夢中になり、中学校からは実家を離れて長野県内の強豪校に進んだ。

そのころの兄・祐希は愛知県の星城高校で汗を流していた。高校2、3年のときにはインターハイ、国大、春高バレーの3冠に貢献し、大学在学中の2014年9月にはシニア代表デビュー。大学在学中からイタリアでプレーするようになり、卒業後の2018年にはイタリア・セリエAのシエナに入団した。

「石川祐希の妹」

兄の活躍は、妹に大きな影響を及ぼしたことだろう。

妹・真佑はバレーボールの名門・下北沢成徳高校に進学し、エースとしてインターハイ、国体を制覇。バレーエリートとしての道を着実に歩むが、華々しいキャリアを積む兄が注目を集めるにつれ、真佑には「石川祐希の妹」という肩書きが付きまとうように。

それゆえか、ふたりが互いのことをメディアを通じて語ることはほとんどない。

真佑が2019年に代表に初選出された際に「自分は自分、兄は兄」と語れば、同年ワールドカップ前、祐希はメディアに対し「妹のことも聞きたいと思いますが、今日は男子について話したい」と話すなど、それぞれが自分のことに集中している様子が窺える。

しかし、真佑が所属する 東レアローズのウェブサイトを覗いてみると、自分の性格を「負けず嫌い」と分析する真佑は、尊敬する人物として兄の存在をあげている。

石川兄妹は現在、パリ2024に向けて新たにスタートを切った日本代表でそれぞれ活躍する。少し離れた場所で自分の戦いに挑み、同じ目標に向かって突き進んでいく。パリまでの道のりでふたりがどのような進化を遂げるのか、兄妹の活躍を応援したい。